上野 一志 文学部人文学科3年
2年連続で自主研究奨励事業に申請させていただきました文学部人文学科3年の上野一志と申します。
この度は大阪大学未来基金にご寄付を賜りまして本当にありがとうございました。
今年度はバリアフリーと公共交通政策について研究をさせていただきました。
自分の視覚障がいの方のボランティア活動の経験で感じた問題点を、イギリスのバリアフリー政策から解決案を提案するというものです。ご寄付いただいた寄付金でイギリスの鉄道行政や日本におけるバリアフリー政策について研究する書籍を購入させていただきました。
その書籍調査を受けて自費ではありますが欧州旅行において有意義な実地調査ができました。
今回の研究はこのイギリスではこうだからというのではなく、それを日本で導入するにはどのような障壁があるかというものになっており、国交省の方や所属している兵庫盲導犬協会のみなさまに様々なご協力を頂きました。
5月1日の全学選抜自主研究成果発表会には盲導犬協会のみなさま、そして視覚障がい支援の会の協会長の中川様に来ていただきました。中川様には「自分が五年前に国土交通省の会合で問題提起させてもらったことと全く同じで、このような問題意識を持っていただけてとても嬉しい」とお褒めの言葉を頂きました。
またその研究を聞きに来て下さった盲導犬協会様と同日に開催された学祭では、視覚障がいと盲導犬を体験するブースを出展させていただきました。このような貴重な視覚障がいに触れ合う機会を設けられたのもこの研究のおかげです。
この自主研究奨励事業を通して、文学部西洋史に入らなかったならばこの研究をしてみたかったというテーマで研究ができました。この事業というのは自分の好奇心をみたしてくれる素晴らしい事業だと思います。
最近自分自身、学部の枠にとらわれているような研究をしていてはいけないと強く感じております。今回の自分の研究は歴史的な観点からイギリスの鉄道にアプローチし、公共政策的な観点、技術的な観点から解決案を提案しました。そのような学際的な研究ができなければならない時代になり、それがアカデミックな世界に求められているのだと思います。
そのような意味ではこのような追加枠というどの学部にとらわれない制度があるのは大阪大学の、そしてこの事業の強みであると思います。