bt_header_menu.gif
logo_header.gif
bt_header_donation.gif
 

感謝のメッセージ - express gratitude

「歯ぎしり」のメカニズム解明へ~動物実験系の構築~

2021.4.1

睡眠も食も大事な活動 その健康を守りたい

ごく一般的な疾患と思われている睡眠時の歯ぎしりについて、意外にもその発生メカニズムは未だ不明であり、エビデンスに基づいた治療方法も確立されていません。この研究に興味を持った歯学部歯学科5年、渕端尚(しょう)さんは、「学部学生による自主研究奨励事業」の基金を受けて実験に取り組み、現在はデータ解析・論文執筆作業を行っています。大震災のボランティアをきっかけに歯学の道を志した渕端さんは「いただいた基礎研究の機会を大事にし、歯科医師としての将来に活かしたい」と意欲を示しています。

メカニズム解明を目指す
detail_pics2-1_sp.jpg

モルモットを使っての睡眠時ブラキシズム研究は、深夜まで及んだ


「睡眠時ブラキシズム動物モデルの電気生理学的検証」というテーマで、研究に携わらせていただきました。いわゆる歯ぎしりはよくある疾患ではありますが、原因は解明されておらず、治療法は確立されていません。その脳内メカニズムの解明には、動物実験を用いたモデルが不可欠です。そこで私は、睡眠と類似した脳波活動を示す麻酔の作用に着目し、モルモットの脳波や呼吸活動、心活動を測定し解析を行いました。麻酔下にある実験動物では、自然睡眠のノンレム睡眠やレム睡眠に似た脳波を交互に繰り返し、顎の筋肉が数回収縮を繰り返して歯ぎしりのように上下の歯をすり合わせる運動が発生しました。つまり、脳や体に刺激を与えなくても自然に歯ぎしりが発生する、という実験モデルとなります。この実験モデルを研究することで、歯ぎしり発生のメカニズムを解明できるのではないかと期待しています。歯ぎしりにとどまらず、睡眠や睡眠中の運動についての研究として、さまざまな可能性を秘めた研究だと考えています。口腔生理学教室で加藤隆史教授や片桐綾乃助教をはじめとする先生方から多くのご指導をいただきながら、学部在学中に論文を国際科学雑誌に掲載できるよう励み ます。ゆめ基金のご支援によって研究を進められ、個人としても大きな成長をさせていただきました。心から感謝いたします。

震災ボランティアを機に、歯学志す
detail_pics2-2_sp.jpg

全国の歯科大学が参加して学生が研究発表する大会「SCRP(Student Clinician Research Program)で登壇した渕端さん = 東京の日本歯科医師会館で2019年8月

私が中学生の時に、東日本大震災が発生しました。そして高校生時に岩手県大船渡市のボランティアに参加。その際、知らなかった歯科の2点の領域に出会いました。一つは、歯科医師が歯牙鑑定を行って、多くの身元を特定したことです。もう一つは、避難生活を送る方々への口腔ケアの重要性と歯科医師の役割でした。「歯科に対する社会の認識を変化させたい」という思いも募って、歯学を志しました。臨床実習では歯の痛みで食事もとりづらかった患者さんが、治療によって「しっかり食べられるようになった」と喜ばれる姿にも接し、感動しました。睡眠も食事も、人間が生きていくうえではとても重要な要素です。歯学の道を歩みながら、多くの方々の健康維持に役立てる歯科医師を目指したいと思っています。

「歯ぎしり」のメカニズム解明へ~動物実験系の構築~ 活動報告動画

睡眠時ブラキシズム:

いわゆる睡眠時の歯ぎしり。睡眠関連運動異常症として分類され、歯がすり減ったり、入れ歯やかぶせ物が壊れたり、顎の痛みや顎関節症の原因にもなる。なぜ、寝ているのに歯ぎしりが発生するのか、脳の仕組みが分からないため、治療法も固まっていない。

未来基金ゆめ基金事業「自主研究奨励事業」とは

学部学生のうちから、自ら課題を見つけ研究する学生を支援することを目的に、1研究に対して1名の教員がアドバイザー教員となり、学生の研究活動の指導、及び1研究当たり5万円~40万円の研究費を助成しています。令和元年度は57組、164人の学部学生に対して、支援を行いました。

  • このプロジェクトの詳細を見る
  • このプロジェクトに寄付をする
 

 

トップへ

ご寄付はこちら